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 何県のどこの地域で、どのような人がどのような思いで生産しているそばなのか。そこまで知ってから玄そばを仕入れたいのです。そばの生産者が見える玄そばを仕入れたい。

くりかえしになりますが、大切に育てられたそばだからこそ大事に自分の手で製粉したいのです。
だから、そば粉になるまでのすべての設備をそろえました。そして、手間も時間もかかる製粉をすべて自分で行うようにしました。


ごく小さな規模ではありますが、深大寺一休庵は調布市の製粉所です。

深大寺そば一休庵 店主

 自家製粉そば屋と謳うそば屋は最近では珍しくなくなってきましたが、完全にいちからそば粉を挽いているそば屋さんどれだけあるのでしょうか。おそらくまだまだ少ないと思います。それは、設備が必要だからです。そして、設置する場所も必要になるからです。多くの「自家製粉」をしているお店は、石臼を用意して製粉会社から殻をむいてもらったそばの実(丸抜き)を買ってきて挽いているのだと思います。もちろんこれも「自家製粉」。挽きたての美味しいそばができるでしょう。ただ、わたしは玄そばを生産者から直接仕入れたい。中間業者をとおさないで仕入れたい。

 なぜここまで自家製粉にこだわるのか。理由はどこにあるのだろうか。
それは、わたしは「味は香り」だからと考えているからです。
鼻をつまんでものを食べても味は感じませんが、つまむのをやめるといっきに鼻に食べ物の香りがとおり、それが何の食べ物かわかります。以前、一般的な製粉所のそば粉と、自家製粉した挽きたてのそば粉をくらべてみました。いろいろと違いはたくさんあるのでしょうが、私が一番気になった大きな違いは「香り」でした。自家製粉した挽きたての香りは強い。香りは空気とふれることによって拡がります。そばの香りが弱い、ということはどういうことか、というところです。
そばの名産地の生産者から最高の玄そばを直接仕入れる。中間業者をはさまないので、価格はおさえられるし産地以外の玄そばが混入することを憂慮する必要もなくなる。
その玄そばを殻をむいて(脱皮)使うぶんだけ石うすで挽いて粉にし、挽きたての香りのあるそば粉を手でこねる。機械ではこねません。この段階でそば粉をなるべく空気に触れさせたいのです。機械を使ってしまうと、一定の力で一定の時間こね続けます。もちろん機械も微調整はできるのでしょうが、やはり
人の手でこねる「ちょうど好い加減」は人にしかできない。
人の手でこねてそば粉と空気をたくさん触れさせることによって、よりいっそうそばの香りを拡げたい。人の手で、こね鉢でこねる。これがそばの味を決める重要な作業の一つでもあります。

 1974年(昭和49年)ごろ、当時のそば組合で「深大寺に自家製粉を取り入れる」という計画がありましたが実行されませんでした。しかし、自家製粉に積極的であった先代は、自分の店に当時としては最新だったロール挽き(機械挽き)の機械を導入し、玄そば(殻のついたままのそばの実)を生産地より仕入れて自分でそば粉を挽いてそばを打ちました。深大寺一休庵の自家製粉はここからはじまりました。
その後石臼挽きも導入し、一部のそばに石臼で挽いたそば粉を使用していました。
2005年(平成17年)、三代目のわたしが製粉に携わるようになり、ロール挽きでの製粉を廃止し、すべてのそばで石臼挽きしたそば粉を使用し、さらに玄そばの磨き直しの作業や丸抜きの作業もすべて自分で行うようにしました。

 室内の温度を低温に設定した製粉所の施設の中には、製粉するための様々な機械と原料が一緒に置いてあります。それは、機械と玄そばの温度を同じにすることで、温度差による機械内や玄そばの「結露」を防ぐためです。細かいところまでケアしやすい、小さい製粉所のこだわりです。
一休庵は、小さな製粉所

規模はごく小さいのですが、一般的な製粉所と
変わらない技術と設備をもっています。

製粉所のある場所
 一休庵の製粉所は、5階建ての建物を建てることができるほどのしっかりとした基礎の上にあります。以前、製粉する機械の振動によって自宅が傾いてしまい建て替えを余儀なくされたことがあったから。